Androidのマイナンバーカード、10月20日開始へ――何が変わるか
デジタル庁は「Androidのマイナンバーカード」を2026年10月20日に提供開始する予定と発表。Google ウォレットに追加して使い、新たに属性証明機能を搭載。従来のスマホ用電子証明書との違い、対応端末、注意点を整理します。
デジタル庁は2026年10月2日、「Androidのマイナンバーカード」の提供を10月20日に始める予定だと発表しました。Android端末の「Google ウォレット」にマイナンバーカードを追加して使う仕組みで、これまでAndroidではできなかった「対面での本人確認・年齢確認」にスマートフォンだけで対応できるようになります。
この記事の要点は次のとおりです。
- 開始予定日: 2026年10月20日(最終テストの結果によっては変更の可能性あり)
- 入れる場所: Google ウォレット
- 新機能: 氏名・住所・生年月日などを証明する「属性証明機能」
- 対象端末: 一定の基準を満たすセキュリティチップを搭載したAndroid端末(詳細は10月20日までに公表)
- 位置づけ: 2023年から続く「Androidスマホ用電子証明書搭載サービス」の刷新
iPhoneでは2025年6月から同等の機能が使えていたため、Androidユーザーにとっては約1年4カ月遅れでようやく条件がそろう形です。
背景:Androidは「先行したのに追い抜かれた」
スマートフォンへのマイナンバーカード機能の搭載は、実はAndroidのほうが先でした。デジタル庁は2023年5月、Android向けに「スマートフォン用電子証明書」の提供を始めています。マイナンバーカードの電子証明書をスマホに搭載することで、次のようなことがカードなしでできるようになりました。
- マイナポータルでの薬・医療費・年金などの情報確認
- 確定申告や引っ越しなどのオンライン申請
- コンビニでの住民票の写しや印鑑登録証明書の交付
ビジネス+ITによると、このサービスの対応機種は現在200以上にのぼります。
一方、2025年6月24日に始まった「iPhoneのマイナンバーカード」は、Apple ウォレットに追加する方式で、最初から属性証明機能を備えていました。つまり「対面でスマホを見せて本人確認を受ける」ことは、これまでiPhoneでしかできなかったわけです。Android版の刷新は、デジタル庁が2025年9月に「2026年秋ごろ」と予告していたもので、今回それが「10月20日」という具体的な日付になりました。
利用者数にも差が出ています。Impress Watchによれば、2026年8月末時点でマイナンバーカードの保有枚数は1億452万5,120枚、人口に対する保有率は84.3%。このうち「iPhoneのマイナンバーカード」の利用者は約850万人、Androidの電子証明書搭載サービスは約80万人にとどまっています。
Androidのマイナンバーカードで新しくできること
今回の刷新の本体は「属性証明機能」の追加です。これは、マイナンバーカードに記録された氏名・住所・生年月日などの属性情報を、スマホから相手に提示して証明する機能です。ITmedia Mobileによると、従来のスマホ用電子証明書は、ログインに使う「利用者証明用電子証明書」と、オンライン申請の署名に使う「署名用電子証明書」の2種類で構成されており、属性証明機能(カード代替電磁的記録)は未実装でした。
| できること | 従来のスマホ用電子証明書 | Androidのマイナンバーカード |
|---|---|---|
| マイナポータルへのログイン・情報確認 | ○ | ○ |
| 確定申告・引っ越しなどのオンライン申請 | ○ | ○ |
| コンビニでの証明書交付 | ○ | ○ |
| 対面での本人確認・年齢確認・住民確認 | × | ○(新規) |
デジタル庁は、10月20日のリリース以降、官民の各種対面サービスで本人確認・年齢確認・住民確認などを「簡単かつ確実に」受けられるようになるとしています。古川デジタル大臣は「実物のカードが不要となる場面が増えるほか、暗証番号入力に代えて生体認証が利用可能になる」と述べ、活用を呼びかけました。
対応端末と移行:自分のスマホで使えるのか
多くの人が気になるのは「自分の端末が対象かどうか」でしょう。現時点で分かっているのは次の点です。
- 利用できるのは一定の基準を満たすセキュリティチップを搭載したAndroid端末に限られる
- 具体的な対応機種は10月20日までに公式サイトで公表される予定
- すでにスマホ用電子証明書を使っている場合、その機種が新サービスに対応していれば移行できる
注意したいのは、現行サービスの対応機種が200以上あるからといって、そのすべてが新サービスの対象になるとは発表されていないことです。属性情報という機微なデータを端末内に保持する以上、セキュリティチップに求められる基準が条件になっており、対応可否は機種リストの公表を待って確認する必要があります。
また、8月25日に配信が始まった新しい「マイナアプリ」(旧マイナポータルアプリを置き換え、デジタル認証アプリを統合したもの)では、端末ロックの設定が必須とされています。スマホを身分証として使う流れが進むほど、画面ロックや生体認証といった端末側の基本的な守りが前提になる点は押さえておきたいところです。
普及のカギは「読み取る側」の対応
もうひとつの重要な論点は、スマホ側が対応しても、店舗や窓口の側が読み取りに対応していなければ使えないという点です。
デジタル庁は、本人確認などを行う行政機関や事業者に対して「Androidのマイナンバーカードの読み取り対応が必要となる」とし、無償で提供している「マイナンバーカード対面確認アプリ」の活用を呼びかけています。このアプリはiPhoneのマイナンバーカードの読み取りにも使われているもので、事業者は無償でダウンロードすることで読み取りに対応できます。
とはいえ、アプリが無償でも、現場のオペレーション変更や従業員への周知には時間がかかります。開始直後から「どこでもスマホだけで通用する」わけではなく、当面は実物のカードも併用する期間が続くと考えるのが現実的です。
影響と今後:スマホが身分証になる時代の注意点
Android版の開始により、国内の主要なスマートフォンOSの両方で、マイナンバーカードの属性証明機能が使える環境が整います。これは次のような変化につながります。
- 利用者: 対応する窓口・店舗では、財布からカードを出さずに本人確認や年齢確認が完了する
- 事業者: 無償の対面確認アプリを使って、スマホ提示による本人確認・年齢確認を受け付けられる
- 行政: カード本体を持ち歩かなくてよい場面が増え、カードの利用機会そのものが広がる
本人確認書類をめぐっては、運転免許証の画像が大量に流出する事案も起きており、「画像のコピーを預ける」方式のリスクが改めて意識されています。端末内のセキュリティチップで保護された情報を、必要な相手にだけ提示する方式は、こうしたリスクを減らす方向の取り組みと位置づけられます。
一方で、利用者側の注意点もあります。
- 開始日は「予定」: 最終テストで追加確認が必要になれば延期の可能性がある
- 対応機種は未公表: 機種変更を検討している人は、リスト公表後に判断したほうが確実
- 端末の紛失・機種変更時の扱い: スマホに身分証機能を載せる以上、紛失時の対応手順を事前に確認しておく
- 実物カードは引き続き必要: 読み取り非対応の窓口・店舗ではカード本体を求められる
なお、政府は2026年7月に公表した重点計画で、次期マイナンバーカードを2029年度に導入する方針や、カードの活用拡大を打ち出しています。スマホ搭載はその流れの中の一歩といえます。
よくある質問
Androidのマイナンバーカードはいつから使えるのか
デジタル庁は2026年10月20日に提供を開始する予定だと発表しています。ただし、最終テストで追加の確認が必要になった場合は、提供開始日が変更される可能性があるとしています。
従来の「スマホ用電子証明書」と何が違うのか
最大の違いは「属性証明機能」の有無です。従来のスマホ用電子証明書はマイナポータルへのログインやオンライン申請、コンビニ交付に使えましたが、対面での本人確認には使えませんでした。Androidのマイナンバーカードでは、氏名・住所・生年月日などを提示して、対面で本人確認・年齢確認・住民確認を受けられるようになります。
自分のAndroidスマホは対応しているのか
対象は「一定の基準を満たすセキュリティチップを搭載したAndroid端末」とされています。具体的な対応機種は10月20日までに公式サイトで公表される予定で、現時点では機種名は明らかになっていません。
すでにスマホ用電子証明書を使っている場合はどうなるのか
現在使っている機種がAndroidのマイナンバーカードに対応していれば、新サービスへ移行できます。対応していない機種での扱いを含め、詳細は対応端末の公表とあわせて確認する必要があります。
実物のマイナンバーカードはもう持ち歩かなくてよいのか
すべての場面で不要になるわけではありません。スマホで本人確認を受けられるのは、窓口や店舗の側が「マイナンバーカード対面確認アプリ」などで読み取りに対応している場合に限られます。当面は実物のカードも併用するのが安全です。
まとめ
「Androidのマイナンバーカード」は、2026年10月20日に提供開始の予定です。Google ウォレットに追加して使い、新たに属性証明機能が加わることで、Androidでも実物のカードを出さずに対面の本人確認や年齢確認を受けられるようになります。iPhoneでは2025年6月から可能だったことが、Androidでも実現する形です。
ただし、対象は一定基準のセキュリティチップを搭載した端末に限られ、対応機種の公表はこれからです。また、読み取る側の対応が進まなければ使える場面は広がりません。まずは10月20日までに公表される対応端末リストを確認し、実物のカードと併用しながら使える場面を見極めていくのがよいでしょう。
参考ソース
- 「Androidのマイナンバーカード」提供へ 20日から 物理カードなしでも本人確認など可能に(ITmedia NEWS)
- 「Androidのマイナンバーカード」は10月20日スタート予定 今の「スマホ用電子証明書」と何が違う?(ITmedia Mobile)
- 「Androidのマイナンバーカード」10月20日開始(Impress Watch)
- 「Androidのマイナンバーカード」、20日スタート(ケータイ Watch)
- 「Androidのマイナンバーカード」10月20日開始 何が変わる?(CNET Japan)
- 「Androidのマイナンバーカード」10月20日開始へ Googleウォレットで本人確認が可能に(ビジネス+IT/Yahoo!ニュース)
- Androidのマイナンバーカード、ついに開始 10月20日から(ASCII.jp)