大阪・関西万博 開幕1周年——2500万人が熱狂した夢の舞台は今、何を遺したのか

2026年4月13日、大阪・関西万博が開幕からちょうど1年を迎えた。158の国と地域・7つの国際機関が参加し、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに半年間の会期(2025年4月13日〜10月13日)で開催された同万博は、最終的に約2500万人を超える来場者を集め、歴史的な成功を収めた。しかし1年が経過した今、会場の人工島・夢洲(大阪市此花区)では解体作業が着々と進み、かつての熱狂がうそのような静寂が広がっている。成果と課題が交錯する「万博後」の現実を、多角的に検証する。


背景:なぜ大阪万博は注目されたのか

大阪・関西万博は、1970年の大阪万博以来55年ぶりに日本で開催された国際博覧会だ。計画当初から「費用対効果への疑問」「建設費の高騰」「会場アクセスへの懸念」など批判的な声も多かった。しかし開幕を迎えると状況は一変。各パビリオンは予約困難になるほど注目を集め、テクノロジーや先端医療、異文化体験の場として広く国民の関心を引き付けた。

とりわけ公式キャラクター「ミャクミャク」は、その独特のビジュアルが話題を呼び、グッズ販売やメディア露出が急増。閉幕間近の時期には1日の来場者数が20万人を超える日も相次いだ。


来場者2500万人超の成功——しかし影も

会期中を通じて約2500万人超が来場し、日本国際博覧会協会(万博協会)の当初目標(約2820万人)には届かなかったものの、コロナ禍明けの大規模イベントとして高い集客力を示した。

経済効果も大きく、大阪府・市は「関西圏への波及効果は2兆円超」と試算。訪日外国人来場者も多く、日本のブランドイメージ向上や、海外パビリオン参加国との新たなビジネス商談につながった事例も報告されている。

一方、問題も相次いだ。2025年8月13日の夜には、唯一の地下鉄アクセスである大阪メトロの電気系統トラブルが発生。全面再開まで約8時間を要し、約1万1000人が会場内で一夜を過ごすという異常事態が起きた(奇しくも1970年万博でも同様の混乱があったことが後に判明している)。パビリオン建設費の高騰と一部業者への未払い問題も、会期後も解決を見ないまま残り続けている。


1年後の夢洲——かつての会場の現在

2026年4月13日、万博協会は夢洲の会場跡地を報道陣に公開した。「蒸気機関車のようだった」と表現された住友館、NTT館、数十のパビリオン群——その大半がすでに姿を消し、大型重機が静かに稼働する更地が広がっていた。

会場のシンボルだった大屋根「リング」(1周約2キロメートル)も、解体が進んでいる。13日時点で約3割、約500メートルが取り壊された。北東側の200メートル部分は保存される予定だが、残りは2027年6月までに解体が完了する見込みだ。

参加国・地域が自前で建設したパビリオン計59館のうち、7割に当たる41館が解体を終えた。しかしトルクメニスタン館はようやく解体に着手したばかりで、チェコ館はリユース方法の調整がつかず手付かずのまま。万博協会は「必要な支援を行う」と述べているが、解体・撤去期限を約3カ月延長せざるを得ない状況も生じている。

万博協会は2028年2月末までに全体を更地にし、土地を所有者の大阪市に返還する計画だ。


レガシーはどこへ——技術・文化・IRへの展開

「一過性で終わらせない」——万博終了後、協会とその協力機関が繰り返してきた言葉だ。

展示品の再活用という点では、主な展示・設備が少なくとも31都府県に移設されている。たとえば米国館の目玉展示だったNASAのSLSロケット模型は大阪市立科学館へ、予約困難だった「ミライ人間洗濯機」は大阪ミナミのホテルに設置されるなど、各地で万博の記憶が新たな形で活用されている。

「ミャクミャク」の人気も継続中だ。開幕1周年に合わせて写真集が発売され、お渡し会には長蛇の列。1周年記念イベント「EXPO2025 Futures Festival」(2026年4月12日、万博記念公園)には、抽選倍率が高倍率になるほどの応募が殺到した。

一方、夢洲の跡地利用については不透明感が残る。カジノを中核とする統合型リゾート(IR)の基礎工事は進んでいるものの(2030年秋頃の開業予定)、万博跡地の具体的な開発計画はまだ公募段階にも入っていない。「負の遺産」と長く呼ばれてきた夢洲を、どう活かすかが今後の大阪の大きな課題となる。


影響と今後——「万博効果」の光と影

2026年に入り、関西での企業倒産が増加傾向にあるというデータも出始めている。「万博特需」が消えた後の需要減少が背景にあるとの指摘もあり、「万博効果の賞味期限」が問われている。

国際的な信頼・知名度向上という側面では、参加国企業との新規取引につながったケースも報告されており、ソフトな外交・経済効果は長期的に続くとの見方もある。

万博協会は今後約半年間、「EXPO2025 Futures」と銘打ったメモリアルイベントシリーズを続ける方針だ。万博から生まれた未来の可能性を次世代につなげることが、その狙いとされている。


まとめ

大阪・関西万博は、来場者2500万人超という数字とともに、日本の技術・文化を世界に発信する場として一定の成功を収めた。しかし開幕1年が経った今も、パビリオン未払い問題、解体の遅れ、跡地活用の不透明さという課題は解決されないまま残っている。「夢のあと」をどう次の現実につなげるか——それが今、大阪に、そして日本全体に問われている。


参考ソース

  • 日本経済新聞「大阪万博の熱気再び、開幕1年イベント」(2026年4月10日)
  • 朝日新聞「万博会場の今、姿消すパビリオン リングは3割解体 開幕から1年」(2026年4月13日)
  • ABCニュース/Yahoo!ニュース「万博開幕から1年 残した"光と影"」(2026年4月)
  • TBS NEWS DIG「万博開幕から1年、脈々と受け継がれるレガシー」(2026年4月)
  • 毎日新聞「大阪・関西万博のレガシーは『記録』 保存・活用に向けた議論を」(2026年4月9日)
  • 読売新聞「大阪万博閉幕から半年、跡地の活用計画見えず」(2026年)
  • 日本経済新聞「大阪万博パビリオン・展示、閉幕半年で移設31都府県に」(2026年3月)
  • EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト(expo2025.or.jp)