日経平均が3か月ぶり7万円台回復――米雇用統計と半導体株高の背景を解説

2026年10月5日午前、日経平均株価が一時1700円超上昇し、約3か月ぶりに7万円台を回復。弱い米雇用統計による利上げ観測の後退とAI・半導体株高という背景、指数の偏り、金利という重荷、家計が押さえたい注意点を整理します。

週明け2026年10月5日午前の東京株式市場で、日経平均株価が大幅に反発し、節目の7万円台を一時回復しました。上げ幅は一時1700円を超え、取引時間中に7万円台をつけるのは7月上旬以来、約3か月ぶりです。

直接のきっかけは、前週末に発表された9月の米雇用統計が市場予想を大きく下回り、米国の追加利上げ観測が後退したことでした。「雇用が弱いのに株が上がる」という一見わかりにくい動きの理由と、7万円という数字をどう受け止めればよいのかを、報道された事実をもとに整理します。

この記事の要点は次のとおりです。

  • 日経平均株価は10月5日午前、一時1700円超上昇して7万円台を回復した(前週末終値は6万8309円46銭)
  • 背景は、9月の米雇用統計(就業者2.9万人増、失業率4.2%)を受けた米追加利上げ観測の後退と米国株高
  • 上昇をけん引したのはアドバンテストなどAI・半導体関連の値がさ株
  • 国内外の長期金利は高止まりしており、相場の重荷になり得る点は変わっていない

なお、本記事は5日午前時点の報道にもとづく解説であり、終値やその後の値動きは反映していません。特定の金融商品の売買を勧めるものでもありません。

背景:9月の米利上げと「金利に振り回される相場」

今回の値動きを理解するには、ここ数週間の金利をめぐる流れを押さえておく必要があります。

米連邦準備理事会(FRB)は9月15〜16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、2023年以来となる0.25%の利上げに踏み切り、政策金利の誘導目標を3.75〜4.00%に引き上げました。その後、市場では10月の追加利上げ観測が強まり、米10年債利回りは一時5.3%台と、2002年以来の高水準まで上昇しています。

金利の上昇は日本にも波及しました。国内の長期金利(新発10年物国債利回り)は9月に約30年ぶりとなる3%台に乗せ、10月1日には一時3.110%まで上昇しています。

金利が上がると、将来の利益への期待で買われてきた成長株、とりわけハイテク株は売られやすくなります。日経平均株価も前週は荒い値動きで、9月29日に6万4699円49銭まで下げたあと、10月1日には6万8995円30銭まで急反発しました。2日は利益確定売りと金利高が重荷となり、647円26銭安の6万8309円46銭で取引を終えています。それでも週間では1945円26銭の上昇でした。

つまり市場は、「次の利上げがあるかどうか」を見極める材料を待っている状態でした。そこへ出てきたのが、2日夜(日本時間)に発表された米雇用統計です。

何が起きたか:10月5日午前の値動き

5日の日経平均株価は、取引開始直後から買い注文が膨らみました。報道された主な数字を時系列で並べます。

時点 日経平均株価 前週末比
10月2日 終値 6万8309円46銭 ―
10月5日 寄り付き 6万9113円74銭 804円28銭高
10月5日 午前10時半 6万9969円38銭 1659円92銭高
10月5日 午前(一時) 7万円台 上げ幅1700円超

寄り付きの時点で6万9000円台は約1カ月半ぶりの水準でした。その後も上げ幅を広げ、午前のうちに7万円台に乗せる場面がありました。2日の大阪取引所の夜間取引では、日経平均先物がすでに7万円を超える場面があり、現物市場がそれを追いかけた形です。

「3か月ぶり」の起点については、取引時間中に7万円台をつけたのは「7月6日以来」とする報道が多い一方、日本経済新聞は「7月1日以来」としており、媒体によって表記に差があります。いずれにせよ、7月上旬以来の水準に戻ったという点は共通しています。

なぜ上がったのか:弱い雇用統計が「好材料」になった理由

米労働省が10月2日に発表した9月の雇用統計の内容は、次のとおりです。

  • 非農業部門の就業者数:前月比2万9000人増(市場予想は9万人程度の増加)
  • 失業率:4.2%(前月の4.1%から上昇)
  • 過去分の改定:8月は16万2000人増から13万3000人増へ、7月は2万1000人増から1万人減へ下方改定(2カ月合計で6万人の下方修正)

数字だけを見れば、雇用の伸びははっきり鈍っています。それでも株価が上がったのは、市場の関心が「景気の強さ」よりも「FRBがさらに金利を上げるかどうか」に向いていたためです。

雇用の伸びが鈍れば、賃金や物価の上昇圧力は和らぐと見なされ、FRBが利上げを急ぐ理由は弱まります。ロイターは、今回の結果を受けてFRBが今月のFOMCで追加利上げに踏み切る可能性はほぼなくなったとみられる、と伝えました。同時に、雇用者数の伸びの急減速は労働市場の急激な悪化を示すものではないとの見方も紹介しています。「利上げは遠のいたが、景気が崩れたわけでもない」という受け止めが、株式市場には追い風になりました。

2日の米国市場では主要3指数がそろって上昇しました。

  • ダウ工業株30種平均:250ドル40セント(0.49%)高の5万1176ドル96セント
  • S&P500種株価指数:0.73%高の7722.72
  • ナスダック総合株価指数:1.19%高の2万7190.86(取引時間中に最高値を更新)
  • フィラデルフィア半導体株指数:2.40%高

エヌビディアが取引時間中の最高値を更新するなど、半導体株の強さが目立ちました。主要7カ国(G7)による石油備蓄の放出発表などを背景に米原油先物相場が下落したことも、相場の支えになったと報じられています。

上昇の中身:AI・半導体の値がさ株がけん引

東京市場でも、この流れを引き継いでAI・半導体関連に買いが集まりました。

  • アドバンテストは連日で上場来高値を更新
  • 東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、村田製作所なども上昇
  • 売買代金上位ではキオクシアホールディングス、フジクラ、イビデン、レーザーテックなどが高い
  • 業種別では電気機器、機械、化学が上昇率の上位

ここで押さえておきたいのは、日経平均株価の計算方法です。日経平均は東証プライム上場の225銘柄の株価をもとにした「株価平均型」の指数で、1株あたりの株価が高い銘柄(値がさ株)の値動きが指数に大きく反映されます。半導体関連には値がさ株が多いため、こうした銘柄が大きく動く日は、指数全体も大きく動きやすくなります。

裏を返せば、「日経平均が7万円に乗せた」ことと「幅広い企業の株価が上がっている」ことは、必ずしも同じではありません。10月2日は、日経平均が下げる一方で非鉄や資源株が逆行高となるなど、業種ごとに明暗が分かれました。指数の水準だけでなく、何が買われ何が売られているのかを見ることが大切です。

影響と今後:7万円台は定着するのか

7万円台を維持できるかどうかは、引き続き金利の動向に左右されそうです。注目点を整理します。

  • 米金融政策:追加利上げ観測は後退したものの、政策金利は3.75〜4.00%と高い水準にあります。今後の物価指標やFRB高官の発言次第で、観測が再び強まる可能性は残ります。
  • 国内の長期金利と国債入札:国内の長期金利は3%台で推移しています。今週は10年債と30年債の入札が予定され、投資家需要への警戒が市場関係者から示されています。金利が一段と上がれば、株式には逆風になります。
  • 日銀の姿勢:市場では日銀の10月利上げ観測は後退していると伝えられていますが、総裁の発言は引き続き注目されています。
  • 為替:円相場は1ドル=157円台で推移しています。円安は輸出企業の業績には追い風ですが、輸入物価を通じて家計の負担になる面もあります。
  • 急ピッチな上昇の反動:前週は2日間で3400円あまり上昇したあと反落しました。短期間で大きく上げたあとは、利益確定売りが出やすい局面です。

家計にとっては、NISAなどを通じて株式や投資信託を保有している人の評価額には追い風です。一方で、株高がそのまま賃金や生活実感の改善を意味するわけではなく、同じ時期に金利上昇が住宅ローンの固定金利などに影響している点にも目を向けておく必要があります。

よくある質問

日経平均株価が7万円台を回復したのはいつですか

2026年10月5日午前の東京株式市場で、取引時間中に一時7万円台を回復しました。取引時間中の7万円台は7月上旬以来、約3か月ぶりです。前週末10月2日の終値は6万8309円46銭で、5日午前の上げ幅は一時1700円を超えました。

雇用統計が悪かったのに、なぜ株価は上がったのですか

米国の追加利上げ観測が後退したためです。9月の米雇用統計は就業者数が2万9000人増と市場予想の9万人程度を大きく下回り、FRBが今月の会合で追加利上げに踏み切る可能性はほぼなくなったと報じられました。金利上昇への警戒が和らぎ、ハイテク株を中心に買いが入りました。

今回の上昇をけん引したのはどんな銘柄ですか

AI・半導体関連の銘柄です。アドバンテストが連日で上場来高値を更新したほか、東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、村田製作所などが上昇しました。日経平均株価は株価の高い銘柄の影響を受けやすい指数のため、こうした銘柄の上昇が指数を大きく押し上げました。

7万円台はこのまま定着しますか

5日午前時点では判断できません。米国の追加利上げ観測は後退しましたが、米国・日本ともに長期金利は高い水準にあり、国債入札や中央銀行関係者の発言次第で相場が変動する可能性があります。前週も急上昇のあとに利益確定売りで反落する場面がありました。

株高は家計にどんな影響がありますか

NISAなどで株式や投資信託を保有している人の評価額にはプラスに働きます。ただし、株高が賃金や生活実感の改善に直結するわけではありません。同じ時期に金利も上昇しており、住宅ローンの固定金利などには負担増の方向で影響が出ています。

まとめ

日経平均株価は10月5日午前、約3か月ぶりに7万円台を回復しました。背景にあるのは、弱い米雇用統計による追加利上げ観測の後退、それを受けた米国株高、そしてAI・半導体関連株への買いです。

一方で、今回の上昇は「金利がこれ以上は上がりにくい」という期待に支えられたもので、金利そのものが低下したわけではありません。上昇が半導体関連の値がさ株に偏っている点、国内外の長期金利が高止まりしている点は、引き続き注意が必要です。7万円という節目の数字だけで判断せず、何が相場を動かしているのかを確認しながらニュースを追うことが、落ち着いた判断につながります。

参考ソース

関連記事