安全保障

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国際・地政学

ホルムズ海峡封鎖107日間が暴いた日本のエネルギー安全保障の弱点——代替調達・戦略備蓄・多角化の行方

はじめに——107日間の「綱渡り」が浮き彫りにした日本の脆弱性 2026年2月28日、米国とイスラエルによるイラン攻撃「エピック・フューリー作戦」が発動された。イランの最高指導者アリー・ハーメネイーが死亡したこの攻撃は、中東全域を戦火に包み込むだけでなく、世界のエネルギー供給に壊滅的な打撃を与える引き金となった。イランは即座にホルムズ海峡の海上封鎖を宣言——世界の海上原油貿易の約20%が通過する「エネルギーの動脈」が、突如として遮断されたのである。 原油の9割超を中東に依存する日本にとって、これは単なる地政学上のニュースではない。ガソリン価格の急騰、代替調達先の必死の開拓、国家備蓄の史上2回目となる放出——107日間にわたるこの危機は、日本のエネルギー安全保障がいかに脆い土台の上に成り立っているかを、残酷なまでに露呈させた。 危機の全容——タイムラインで見る107日間 この危機は、単一の出来事ではなく、波状攻撃のように段階的に深刻化していった。以下のタイムラインが示す通り、封鎖宣言から暫定合意に至るまで、事態は何度も好転と悪化を繰り返した。 timeline tit
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政治・社会

令和8年版防衛白書が新設した「新しい戦い方」——無人機とAIが安保3文書改定を動かす

2026年8月4日、令和8年版防衛白書が閣議で報告された。無人装備とAIによる「新しい戦い方」を扱う章が新設され、前年版から約50ページ増。中国を「これまでにない最大の戦略的挑戦」と位置づけ、年内の安保3文書前倒し改定に向けた論点を先出しした白書の中身を読み解く。
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AI・テクノロジー

防衛機密が民間クラウドへ——防衛省がAI活用のために「自前主義」を捨てる日

防衛省が、自前システムで管理してきた機密性の高い情報を民間クラウドでの運用に移行する。2027年度予算で移行準備の経費を要求し、急増するデータを一体的に活用してAI導入を本格化させる狙いだ。なぜ今「自前主義」を捨てるのか、米国防総省JWCCの先行事例、CLOUD Actとデータ主権のリスクまでを読み解く。
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国際・地政学

南鳥島がにわかに注目される理由——日本の最東端が持つ地政学的・資源的価値とは

はじめに 南鳥島は日本の最東端に位置する島嶼と周辺海域を含む地理的・行政的要所です。排他的経済水域(EEZ)とは領海の外側に広がる海洋資源開発権の枠組みで、通常200海里の範囲を指します。この視点から、南鳥島は資源開発と防衛の両方で戦略的な意味を持ちます。 地理的には周辺交通の安定性を支える要点であり、周辺海域にはレアアース系資源の潜在性が指摘されています。現状の探査は技術的・経済的なハードルがある一方、資源安全保障の観点で重要な論点です。 安全保障上は自衛隊施設の存在と領海・EEZの監視拠点となることが想定されます。国際的には中国の海洋進出など太平洋域の変動が、日本の役割再評価を促します。島嶼国との連携や地域の安定性も議題です。 以下では、地理・資源・安全保障・国際関係の観点を横断的に整理し、南鳥島が持つ多面的な価値を読み解いていきます。 南鳥島の戦略的価値 EEZ(排他的経済水域)とは、基線から最大で200海里(約370km)に広がる、国家に資源利用の権利が付与された海域のことです。南鳥島はこのEEZの東端に位置し、日本の海洋権益を直接的に左右します。地理的に遠地点と
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国際・地政学

NATOアンカラ首脳会議2026が描く世界の新たな安全保障体制——欧州の自立化とウクライナ支援の行方

はじめに — 世界の安全保障の地殻変動が起きた場所 2026年7月7日から8日、トルコの首都アンカラでNATO首脳会議が開催された。冷戦終結後、おそらく最大の構造的転換点となる決定が次々と発表された。 会議の背景には、NATO史上最も深刻な危機があった。トランプ政権下のアメリカ合衆国だ。2026年4月、トランプ大統領は「NATO離脱を強く検討している」と公言した。3月にはペンタゴンが集団的防衛(Article 5)の再確認を拒否し、5月には在独米軍5000名の撤退命令が発出された。アメリカ——NATOの創設メンバーであり、最大の軍事力を担う国家——が、自らが作った同盟体制から離れようとしている。この事態は、欧州各国の首都に衝撃を走らせた。 他方、会議の最も重い議題はウクライナだった。ウラジミール・ゼレンスキー大統領がアンカラに赴いたその直前——7月6日——、ロシアは29発の弾道ミサイルと極超音速兵器をウクライナに向けて発射した。ウクライナ側のPAC-3迎撃弾は在庫枯渇に陥り、迎撃は不可能だった。そして会議初日の議論が続く最中、宣言文の文言が調整されているまさにその7月9日、キーウ
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国際・地政学

南シナ海仲裁判断10年、中国が茂木外相談話に抗議 揺れるアジアの海洋秩序

2026年7月12日、南シナ海を巡る比中仲裁判断が下されてからちょうど10年の節目を迎えた。この日、茂木敏充外相は「仲裁判断は最終的であり、フィリピンと中国を法的に拘束する」とする外務大臣談話を発表し、日本・米国・フィリピンなど14カ国は中国を念頭に「中国の主張に法的根拠はない」とする共同声明を発出した。これに対し中国外務省は即座に反応し、在中国日本大使館の幹部を呼び出して抗議した。10年前の国際法上の判断が、今なお日中関係と地域の安全保障を揺さぶり続けている構図が改めて浮き彫りになった。 背景:2016年仲裁判断とは何だったか 事の発端は2016年7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA)が下した判断にさかのぼる。フィリピンが国連海洋法条約(UNCLOS)に基づき申し立てたこの仲裁で、裁判所は中国が南シナ海のほぼ全域に主張してきた「九段線」に基づく歴史的権利について、法的根拠がないとして退けた。中国はこの判断を一貫して拒否し、この10年間、南沙諸島などの係争地形における軍事拠点化や、海上民兵船舶を用いた威圧的な活動を継続・強化してきたとされる。 南シナ海は世界有数
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