はじめに:AIエージェントが「経験を活かせない」問題
大規模言語モデル(LLM)を基盤とするAIエージェントは、ユーザーの指示に応じて推論時にワークフローを動的に構築し、複雑なタスクを解決する能力を持っています。しかし、その過程で一度使った手順は、タスク完了とともに捨てられてしまいます。たとえば「冷蔵庫から卵を取り出して茹でる」という家事タスクと「冷蔵庫から牛乳を取り出して温める」というタスクは、移動・把持・加熱という一連の動作パターンが酷似しているにもかかわらず、従来のエージェントは毎回ゼロからワークフローを組み立て直さなければなりません。
この「経験を活かせない」問題は、以下の2つの非効率性を引き起こします。第一に、同じような問題で毎回似た手順を生成するため、API呼び出し回数が増加しトークンコストが膨らみます。第二に、生成のたびに結果がばらつくため、安定した品質を得るのが難しくなります。これらの課題は、LLMエージェントを実運用に展開する際の大きな障壁となっています。
flowchart LR
subgraph 従来のエージェント
A1[タスクA<b