はじめに — 日本の「長寿世界一」が意味するもの
2026年7月24日、厚生労働省からひとつの発表がありました。
「2025年の日本人の平均寿命は、男性81.35歳、女性87.33歳」
男女とも前年を上回り、しかも2年ぶりの延伸です。とくに女性は41年連続で世界一という驚異的な記録を更新しました。41年というのは、もう一つの世代がまるごと生まれ変わるような時間です。1980年代半ばから、日本の女性はずっと世界でいちばん長く生き続けているのです。
このニュースを聞いて、多くの方は「おめでたい話だ」と感じたことでしょう。それは間違いありません。戦後の焼け野原から、世界一長く生きる国になった。これは日本の医療、食生活、社会保障、そして何より国民一人ひとりの健康への意識がもたらした偉大な成果です。
しかし——。
この明るいニュースの裏で、日本の社会はいま、かつてない構造的な危機に直面しています。世界一長く生きる国は、同時に世界最速で人口が減っている国でもあるのです。
2025年、日本の高齢化率は29.3%に達しました。国民の3.5人に1人が65歳以上です。そして2070年には、2