はじめに──5月14日朝、金融庁ビルの会議室で始まった「新時代」
2026年5月14日。連休明けの東京・霞が関の金融庁ビル12階の会議室には、普段は同じテーブルに着くことのない顔ぶれが揃った。三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の3メガバンクのCISO、セブン銀行・楽天銀行など主要ネット銀の役員、NTTデータと野村総合研究所のシステム責任者、財務省と日本銀行の課長級、そして米Anthropic(アンソロピック)と米OpenAIの日本法人代表──総勢36団体・組織が集まったのは、金融庁主導で発足した「ミュトス対策官民連携ワーキンググループ(WG)」の初会合だ。
議長を務めたのはみずほフィナンシャルグループのCISO。初会合の冒頭で確認された議論の対象は、たった一つのAIモデルである。米Anthropicが2026年4月7日に発表した「Claude Mythos(クロード・ミュトス、開発コード名:Capybara)」──ソフトウェアの脆弱性を熟練エンジニアの数十倍の速度で発見する「史上最強の矛」と呼ばれる新型AIだ。Mozilla Firefoxの15年以上未発見だったバグを含む2