リード ── 深夜の交差点で起きた、ひとつの「初めて」
2026年6月2日午後10時すぎ、東京都北区王子の交差点で、ひとりの62歳男性が命を落とした。男性が乗っていたのは、電動マイクロモビリティのシェアサービス「LUUP(ループ)」の電動キックボード。軽貨物車と衝突し、約1時間後に死亡が確認された。
この事故が重い意味を持つのは、それが「初めて」だったからだ。2023年7月の改正道路交通法で「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」という新しい車両区分が生まれて以降、東京都内の車道で特定小型原付の利用者が死亡した事故は、これが初めてとされる。運営会社のLuup(東京都品川区)は事故から1週間後の6月9日に事実を公表し、哀悼の意とともに安全対策の強化を表明した。
街じゅうのポートから免許なしで気軽に乗れる──そんな利便性で都市部に急速に浸透してきた電動キックボード。その普及の象徴ともいえるLUUPで起きた初の死亡事故は、SNS上で「規制を強化すべきだ」「いっそ廃止に」という声を一気に再燃させた。本稿では、何が起きたのか、なぜこの乗り物の安全性がたびたび問われてきたのか、そして私たち