はじめに — EVの「航続・充電・安全」を根本から変える技術
電気自動車(EV)の普及を阻む最大の壁は何か。航続距離への不安、充電の待ち時間、そして発火リスク——これら3つの懸念を一度に解決する技術として、世界中が「全固体電池(All-Solid-State Battery)」に期待を寄せている。
従来のリチウムイオン電池では、正極と負極の間をリチウムイオンが移動する際、可燃性の有機溶媒(液体電解質)を使用する。これがEVのバッテリーパックに複雑な冷却システムと安全構造を強要し、コストと重量を押し上げてきた。
全固体電池は、この液体を固体電解質に置き換える。それだけのシンプルな変更が、エネルギー密度を約2倍に引き上げ、発火リスクをほぼゼロにし、ガソリン給油並みの10分充電を可能にする可能性を秘めている。
2026年は、この「夢のバッテリー」が約束から試作へ、そして初期量産へと移行する決定的な転換点だ。トヨタ自動車と出光興産が2027〜2028年の実用化に向けた固体電解質の量産技術開発を進める一方、中国のCATL(寧徳時代)が500Wh/kgの全固体電池の試験生産を開始。Sams