森保ジャパン、スウェーデンと1-1で3大会連続の決勝T進出──次は「王国」ブラジル、20年ぶりに挑む“ベスト8の壁”

リード ── ダラスで決めた、運命のドロー

2026年6月26日(日本時間)、米テキサス州ダラスのスタジアムに、青いユニフォームを着た選手たちの安堵と悔しさが入り混じった表情が広がった。FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会、1次リーグF組最終第3戦。サッカー日本代表(FIFAランキング16位)はスウェーデン(同36位)と1-1で引き分け、勝ち点5のグループ2位で3大会連続となる決勝トーナメント進出を決めた。

先制したのは日本だった。後半11分、前田大然が右足で冷静にゴールへ流し込む。しかしわずか6分後、スウェーデンのアンソニー・エランガに芸術的なコントロールショットを突き刺され、試合は振り出しに戻った。勝ち越し点こそ奪えなかったが、引き分け以上で2位以内が確定する状況で、日本は最低限の結果を手にした。そして決勝トーナメント1回戦で待ち受けるのは、サッカー王国・ブラジルである。本稿では、この一戦が持つ意味を、試合内容・記録・対戦相手・大会構造という複数の角度から掘り下げる。

背景 ── 48カ国時代の新しいW杯と、日本の立ち位置

今大会は、W杯の歴史が大きく変わった「最初の大会」である。出場枠が従来の32カ国から48カ国へと拡大され、米国・カナダ・メキシコの3カ国による史上初の3カ国共催。グループは12組に分かれ、各組上位2チームに加え、3位のうち成績上位8チームが決勝トーナメントに進出する。このため1回戦は「ラウンド32(32チームによる戦い)」と呼ばれ、勝ち抜けば従来の「ベスト16」に相当するラウンドへ進む構造になっている。大会は日本時間6月12日に開幕し、決勝は7月20日に予定されている。

日本はオランダ、チュニジア、スウェーデンと同じF組に入った。初戦のオランダ戦では2度のビハインドを跳ね返して2-2のドロー、第2戦のチュニジア戦では上田綺世の2ゴールを含む4-0の圧勝を収め、1勝1分の好スタートを切っていた。注目すべきは、攻撃の柱と目されてきた三笘薫や南野拓実といった主力を欠きながら、この成績を残してきた点だ。米メディアのパワーランキングでは、組織力を高く評価され、ドイツやブラジルを上回る「世界5位」と報じられる場面もあった。最終節のスウェーデン戦は、引き分け以上で3大会連続の決勝トーナメント進出が確定する一戦として迎えられた。

一方の対戦相手スウェーデンも侮れない相手だった。世界ランキングは36位だが、欧州予選ではプレーオフを勝ち上がって2大会ぶりの本大会出場を決めた実力国であり、プレミアリーグで活躍するアンソニー・エランガや、長身ストライカーのヴィクトル・ギェケレシュといった、欧州トップレベルで結果を残す個の力を擁していた。日本にとっては「引き分け以上でよい」という有利な条件の裏で、一瞬の隙が命取りになりかねない緊張感をはらんだ一戦だったのである。

試合詳細 ── 前田の先制弾と、エランガの一閃

森保一監督は、第2戦から3人を入れ替えて試合に臨んだ。GK鈴木彩艶、DFは菅原由勢、板倉滉(キャプテン)、瀬古歩夢、伊藤洋輝。中盤に堂安律、田中碧、中村敬斗、鎌田大地を置き、前線は前田大然と上田綺世の2トップ。菅原と瀬古は今大会初先発となった。大幅なターンオーバーは行わず、勝ち点を確実に積み上げる現実的な布陣だった。

前半は両者譲らずスコアレスで折り返す。試合が動いたのは後半11分。上田綺世が起点となり、堂安律が絶妙なスルーパスを通すと、最終ラインの背後に抜け出した前田大然が右足で冷静に流し込み、日本が1-0とリードを奪った。この得点で日本は今大会通算7得点目をマーク。これは2018年ロシア大会で記録した1大会6得点を上回り、W杯における日本史上最多の得点記録となった。

しかし、リードはわずかしか続かなかった。後半17分、右サイド深くでボールを受けたエランガが堂安律との1対1から内側へ切れ込み、ペナルティーエリア右角付近から左足を一閃。鋭いコントロールショットがゴール左隅に突き刺さり、スウェーデンが1-1に追いついた。アシストはストライカーのヴィクトル・ギェケレシュ。元日本代表の本田圭佑氏も解説で「明らかに押され始めている」と危機感を示すなど、終盤にかけてスウェーデンの勢いが増す展開となった。

森保監督は後半21分に堂安と上田を下げて伊東純也と小川航基を投入。さらに後半30分には中村敬斗と瀬古歩夢に代えて長友佑都と渡辺剛を送り出した。ここでベテラン長友佑都が今大会初出場を果たし、日本人選手として史上初となる5大会連続のW杯出場という金字塔を打ち立てた。試合はそのまま1-1で終了。日本はオランダ戦2-2、チュニジア戦4-0、スウェーデン戦1-1の1勝2分、勝ち点5でF組2位を確定させた。なお首位はチュニジアを3-1で破ったオランダ、3位のスウェーデンも勝ち点4で2大会ぶりの決勝トーナメント進出を決めている。

次なる相手 ── 23大会連続出場の「王国」ブラジル

決勝トーナメント1回戦(ラウンド32)で日本が対戦するのは、C組を1位で通過した優勝候補・ブラジル(FIFAランキング6位)だ。試合は日本時間6月30日午前2時から、米ヒューストンで行われる。地上波ではフジテレビが生中継を予定している。

ブラジルは1930年の第1回ウルグアイ大会から今大会まで23大会連続出場を続ける唯一の国であり、W杯優勝5回を誇る文字どおりの「サッカー王国」だ。日本との通算対戦成績は1勝2分11敗と大きく水をあけられている。唯一の勝利は、2025年10月の親善試合で挙げた3-2の逆転勝ちだった。

今大会のブラジルは勢いに乗っている。エースのビニシウス(レアル・マドリード)は3試合で4得点と絶好調。さらに、度重なる負傷に苦しんできたネイマール(サントス)も、24日のスコットランド戦で981日ぶりに代表復帰を果たし、チームの士気は最高潮にある。日本にとっては、グループリーグとは次元の異なる「高すぎる壁」への挑戦となる。W杯の舞台で本気のブラジルと相まみえるのは、実に20年ぶりのことである。

影響・今後 ── 悲願の「ベスト8」へ、問われる真価

日本にとって、この決勝トーナメントには特別な意味がある。日本はこれまでW杯で決勝トーナメントに4度進出しているが、いずれもラウンド16(ベスト16)で姿を消し、「ベスト8の壁」を一度も越えられずにいる。森保ジャパンが掲げてきた「新しい景色を見る」という目標は、まさにこの壁の先にある。今大会の組織的な戦いぶりは世界からも評価されており、悲願達成への期待は高い。

ただし、その道のりは険しい。仮にブラジルを破ったとしても、続くラウンド16ではコートジボワールとノルウェーの勝者と対戦する見込みで、その先も強豪がひしめく組み合わせとなっている。三笘や南野ら主力を欠くなかで、前田の決定力、上田の起点となる動き、堂安の創造性、そして鈴木彩艶を中心とした守備の安定が、どこまで世界の最高峰に通用するか。短期決戦のトーナメントでは、わずかな運や采配の差が結果を大きく左右する。森保監督の選手起用と戦術的な修正力も、これまで以上に問われることになる。

経済・社会的な波及も小さくない。深夜帯のキックオフにもかかわらず、ブラジル戦は国民的な注目を集めることが確実視され、テレビ視聴率やSNSの盛り上がり、関連消費など、スポーツの枠を超えた影響が見込まれる。長友佑都の5大会連続出場という記録は、2010年南アフリカ大会から実に16年にわたり世界の舞台に立ち続けてきた個人の積み重ねであると同時に、日本サッカーがW杯常連国として築いてきた歴史の厚みそのものを象徴している。ベテランと若手が同じピッチに立つ世代交代の進行も、今大会の見どころの一つだ。

加えて、48カ国体制へと拡大した新フォーマットは、日本のような「グループリーグを安定して突破できる中堅国」にとって追い風となる側面もある。出場枠と試合数の増加は、強豪国と真っ向勝負する機会を増やすと同時に、勝ち上がりの組み合わせ次第では新たな歴史を切り開く可能性も広げる。今回の日本が、その新時代の象徴となれるかどうかが問われている。

まとめ

スウェーデンとの1-1という結果は、勝ち越せなかった悔しさと、確実に決勝トーナメント進出を決めた安堵が同居する、いかにも勝負どころらしい一戦だった。前田大然の日本史上最多となる1大会7得点目、長友佑都の史上初の5大会連続出場と、記録の面でも歴史に刻まれる試合となった。

そして物語は、6月30日のブラジル戦へと続く。1勝2分11敗という戦績が示すとおり、相手は紛れもない格上だ。だが、主力を欠きながらグループリーグを駆け抜けた今の日本には、組織力という確かな武器がある。20年ぶりに本気の「王国」へ挑む森保ジャパンが、悲願のベスト8という「新しい景色」にたどり着けるのか。日本時間6月30日午前2時、その答えがヒューストンで示される。


参考ソース

  • テレ東スポーツ/Yahoo!ニュース「日本代表 スウェーデンと1-1のドロー グループF2位通過で決勝T初戦はブラジルと激突」(2026年6月26日)
  • スポニチ Sponichi Annex「【W杯】森保J、同点に追いつかれる 前田大然のゴールで先制も 直後に豪快ミドル浴びる」(2026年6月26日)
  • オリンピックス公式「【ライブ速報】サッカー日本代表vsスウェーデン」(2026年6月26日)
  • 日刊スポーツ「日本、前田大然先制もスウェーデンとドロー F組2位で決勝T進出 30日ブラジルと激突/詳細」(2026年6月26日)
  • 日刊スポーツ「日本、決勝トーナメント1回戦はブラジル!F組2位、W杯で20年ぶり本気の『王国』と30日に」(2026年6月26日)
  • サッカーキング「日本代表、ラウンド32の対戦相手はブラジル代表に決定…通算対戦成績は1勝2分け11敗」(2026年6月26日)
  • スポニチ Sponichi Annex「【W杯】森保J 決勝Tはいばらの道 初戦でブラジルと対戦 その後も強豪国揃いの組み合わせ」(2026年6月26日)
  • ゲキサカ「森保Jスウェーデン戦のスタメン発表!! 瀬古・菅原が初先発も大幅ターンオーバー行わず」(2026年6月26日)
  • サンスポ「日本、前半終了時点のままなら次は30日の火曜日、午前2時開始、ブラジル戦に…」(2026年6月26日)

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