W杯北中米大会、日本代表が初戦オランダへ──三笘薫不在の「死の組」F、史上初ベスト8への挑戦が始まる
リード ── 4年に一度の祭典、サムライブルーの戦いがいよいよ始まる
48カ国が頂点を競うサッカーのFIFAワールドカップ2026(北中米大会)。その大舞台で、日本代表「サムライブルー」の戦いがついに幕を開ける。日本はグループステージ第1節で、世界屈指の強豪オランダと激突する。キックオフは日本時間6月15日午前5時、会場は米テキサス州のダラススタジアム。森保一監督率いる26人は、過去最高成績を更新する「史上初のベスト8」、そしてその先を見据えてピッチに立つ。
だが今大会の日本は、出発点で大きな試練を背負った。攻撃の核と期待されたエース・三笘薫がメンバーから外れたのだ。「死の組」とも称されるグループFを、エース不在のチームはどう戦い抜くのか。本稿では大会の全体像、日本の置かれた状況、初戦の構図、そして今後の展望を整理する。
背景 ── 「史上最多48カ国」「3カ国共催」で姿を変えたワールドカップ
2026年大会は、ワールドカップの歴史を塗り替える「転換点」となる大会だ。現地時間6月11日(日本時間12日)、メキシコシティの名門アステカスタジアムで開幕戦が行われ、約1カ月にわたる祭典が始まった。決勝は現地7月19日(日本時間20日)に予定されている。
最大の変化は規模である。出場国はこれまでの32から48へと一気に16カ国拡大し、史上最多となった。試合数も64から104へと大幅に増えている。さらに開催形式も史上初めて、アメリカ・カナダ・メキシコの3カ国による共同開催となり、計16都市・16会場で熱戦が繰り広げられる。主催の中心はアメリカで、カナダとメキシコが補助開催国という位置づけだ。
大会方式も新しくなった。48カ国はA〜Lの12グループに4チームずつ分かれてグループステージを戦い、各組の1位・2位に加え、3位のうち成績上位8チームの計32チームが新設の決勝トーナメント「ラウンド32」へ進出する。出場枠が広がったことで、初出場国やアジア・アフリカ勢にもチャンスが拡大した一方、決勝までに勝ち抜くべき試合数が増え、選手の負担や過密日程を懸念する声も上がっている。
詳細① ── 日本が入った「死の組」グループF
日本が振り分けられたのはグループF。同居するのはオランダ、スウェーデン、チュニジアという、いずれも一筋縄ではいかない相手だ。FIFAランキングでも上位に位置するオランダをはじめ、欧州の組織力を備えたスウェーデン、アフリカ屈指の堅守を誇るチュニジアと、バランスの取れた強豪が並ぶ。ファンやメディアの間では早くから「死のグループ」と呼ばれてきた。
日本の日程は、第1節オランダ戦(日本時間6月15日・ダラス)を皮切りに、6月下旬にかけて残る2試合を戦う構図だ。グループ突破には、強豪オランダ相手に最低でも勝ち点を持ち帰り、続くチュニジア、スウェーデン戦で確実に積み上げることが求められる。拡大方式で3位でも決勝トーナメント進出の可能性が残るとはいえ、上位2チームでの突破を狙うのがチームの基本線となる。
詳細② ── エース三笘薫の離脱という痛手
今大会の日本を語る上で避けて通れないのが、MF三笘薫(28=ブライトン)の離脱だ。三笘は5月9日のイングランド・プレミアリーグ、ウルバーハンプトン戦で左太もも裏(ハムストリング)を痛めて途中交代。全治2カ月程度の肉離れと診断され、5月15日のメンバー発表で26人から外れた。森保監督は「大会期間中の復帰は難しいとメディカルから報告を受けた」「最後の最後まで悩んだ」と、目を潤ませながら苦渋の決断を明かした。三笘はその後、手術を受けている。
前回カタール大会では「三笘の1ミリ」で日本中を沸かせた左サイドの絶対的存在だっただけに、その不在の影響は計り知れない。さらに、左膝前十字靱帯を断裂したMF南野拓実(モナコ)も選から漏れるなど、攻撃陣は負傷者に泣かされる格好となった。左サイドの再構築は、森保ジャパンにとって本大会最大の編成課題となっている。
詳細③ ── 26人の顔ぶれと森保監督の決意
それでも、選ばれた26人には経験と勢いが同居する。主将はリバプールでプレーするMF遠藤航(33)。そして象徴的なのが、DF長友佑都(39=FC東京)の選出だ。長友はアジアの選手として史上初となる5大会連続のワールドカップ出場を果たすことになった。攻撃陣では久保建英、堂安律、上田綺世、鎌田大地、伊東純也ら欧州で実績を積む顔ぶれがそろい、三笘不在の左サイドは中村敬斗らが担うとみられる。ゴールマウスは早川友基、大迫敬介、鈴木彩艶の3人で争う。
初戦を前にした6月13日の記者会見で、森保監督は強豪相手のゲームプランとして「先行逃げ切りを」と語り、先制点の重要性を強調した。選手たちが口にするのは「隙のない戦い」。指揮官は「理想通りに試合が運ばなかったときに、自分たちから崩れないように考えてくれている」と、守備の安定と精神的な強さに手応えをにじませた。日本は近年、ブラジルなど世界の強豪を撃破した実績もあり、「弱者の戦い」一辺倒ではない自信を携えて大舞台に臨む。
影響・今後 ── 「史上初ベスト8」は実現するのか
日本のワールドカップ最高成績は、2002年・2010年・2022年に記録したベスト16だ。とりわけ2018年ロシア大会では、ベスト16でベルギーに2点リードしながら終盤に逆転を許し、史上初の8強をあと一歩で逃した苦い記憶が残る。日本サッカー協会は長期目標として「世界の頂点」を掲げており、今大会の現実的な到達点として「ベスト8突破」が大きなテーマとなる。
その試金石が、初戦のオランダ戦だ。世界的強豪を相手に勝ち点をもぎ取れれば、グループ突破はもちろん、チーム全体の勢いと自信に直結する。逆に黒星スタートとなれば、続くチュニジア、スウェーデン戦で一気に崖っぷちに立たされる。拡大方式の今大会は、勝ち上がるほど試合数が増えるため、コンディション管理と選手層の厚さが従来以上に勝敗を分ける。三笘というカードを欠いた日本が、組織力と総合力でどこまで戦えるのか。世界も注目している。
経済・社会的な波及も大きい。深夜・早朝の試合が続く日程ながら、テレビ各局やネット配信は大型編成で臨み、関連消費やSNSの盛り上がりも例年以上が見込まれる。4年に一度、国全体が一つの戦いに熱狂する時間が、再び訪れようとしている。
まとめ
史上最多48カ国、3カ国共催という新時代のワールドカップで、日本代表は強豪ひしめく「死の組」グループFに挑む。エース三笘薫を負傷で欠くという逆風の中、ベテラン長友佑都の経験と若い才能が融合した26人が、「史上初ベスト8」という悲願に向けて走り出す。まずは日本時間6月15日早朝、オランダとの初戦。先制点を奪い、隙のない戦いで勝ち点をつかめるか。サムライブルーの長い夏が、ここから始まる。
参考ソース
- FIFA公式「FIFAワールドカップ2026:開催国、開催都市、日程」(2026年)
- 日本サッカー協会(JFA)公式サイト「FIFA World Cup 2026 / SAMURAI BLUE 日程・結果」(2026年)
- 時事通信「森保監督『勝つための26人』 負傷の三笘薫外れる」(2026年5月15日)
- 日刊スポーツ「三笘薫が落選、理由は『大会期間中の復帰が難しい』」(2026年5月15日)
- 産経新聞「『先行逃げ切りを』オランダ戦に向け森保一監督が会見」(2026年6月14日)
- 日本経済新聞「サッカーW杯北中米3カ国大会」特集(2026年6月)
- Goal.com 日本「FIFAワールドカップ2026 グループリーグ組み合わせ一覧」(2026年)