データ主権

A collection of 3 posts
AI・テクノロジー

Apple、英政府のiCloudバックドア命令に2度目の提訴

Appleが2026年7月、英国政府による2度目のiCloudバックドア要求に対し捜査権限審判所へ異議を申し立てた。1度目は米国の圧力で撤回されたが、今回は対象を英国ユーザーに限定した修正版。存在を明かせば刑事罰という秘密命令の構造と、暗号化に「一国だけの例外」を作れるのかという問いを整理する。
9 min read
AI・テクノロジー

「処理中のデータ」をついに国内で守れるか──さくら×Acompanyが実証した"秘密を守れるAI"基盤、ソブリンAIの最後のピース

リード ── 暗号化の「最後の穴」を、日本のデータセンターでふさぐ 生成AIを業務に取り込もうとするたびに、企業の情報システム部門を悩ませてきた問いがある。「このプロンプトや機密ファイル、社外のクラウドに送って本当に大丈夫なのか」。保存しているデータは暗号化できる。通信経路も暗号化できる。だが、AIが実際に計算している"まさにその瞬間"――メモリ上で平文に戻ってGPUが処理している間だけは、これまで原理的に守りきれない「穴」が残されていた。 2026年6月23日、さくらインターネットと、秘密計算を手がける名古屋のスタートアップ・Acompany(アカンパニー)が、その穴を国内データセンターでふさぐ検証に成功したと発表した。さくらの国産GPUクラウド「高火力 PHY」(NVIDIA H200搭載)上で、GPUとCPUの両方をハードウェアで秘匿化したまま大規模言語モデル(LLM)の推論を走らせ、データセンターの運用者ですら処理中の中身を覗けない環境を構築できた、という。両社によれば、NVIDIA Confidential Computing(NCC)とIntel TDXを組み合わせた国
6 min read
AI・テクノロジー

「顧客には売るが、社員には使わせない」──Claude Fable 5を揺さぶった"データ保持"と米政府指令、そして自前AIという答え

リード ── わずか4日で消えた「最強モデル」 2026年6月、生成AIの世界で象徴的な「4日間」があった。6月9日(米国時間)、AnthropicはこれまでにないハイエンドのAIモデル「Claude Fable 5(フェイブル)」と、その双子にあたる「Claude Mythos 5(ミュトス)」を一般公開した。ところが6月11日にはMicrosoftが自社の従業員に対してFable 5の社内利用を禁じ、6月12日には米国政府が国家安全保障を理由に「外国籍者によるアクセス停止」を求める輸出管理指令を発出。これを受けてAnthropicは6月13日早朝、公開からわずか4日で両モデルを全ユーザーに対して停止した。 派手な新製品の登場と退場というニュースに見えるが、本質はもっと根深い。今回の騒動は、「企業や個人が他社のAIに自分のデータを預けるとは、どういうことか」という問いを、これ以上ないほど鮮明に突きつけた。そして、それは「自宅や自社のサーバーでAIをどこまで動かせるか」を追い続けてきたこの実験室にとって、無視できないテーマでもある。本稿では一連の流れを整理し、データ主権の観点から何
8 min read