重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは? マダニによる感染症の症状・予防を解説
はじめに
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニを介して感染するウイルス性疾患です。発熱、倦怠感、筋肉痛などから始まり、重症化すると出血傾向や多臓器不全を起こすことがあります。野山や草むらで過ごす機会がある人は、マダニに接触しないための対策と、体調変化に気づくための知識を身につけておくことが大切です。
この記事では、SFTSの原因と主な症状、日常生活でできる予防策、受診を考える目安を整理します。症状や受診について不安がある場合は、自己判断で済ませず医療機関や地域の相談窓口に相談してください。
SFTSとは?原因と感染のしくみ
SFTSは、SFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染することがある病気です。マダニは森林、草地、農地などに生息し、野外活動の際に衣類や皮膚へ付着する可能性があります。咬まれても痛みやかゆみを感じない場合があるため、帰宅後の点検が重要です。
感染経路を知っておくと、予防すべき場面を具体的にイメージできます。山歩きや農作業だけでなく、庭の手入れ、キャンプ、犬の散歩など、草木に触れる活動でも衣類に付着することがあります。マダニは小さく見つけにくいため、「咬まれていないように見えるから大丈夫」とは限りません。活動した日は、帰宅後の点検までを一つの行動として習慣にしましょう。
潜伏期間はおおむね6〜14日程度とされますが、発症までの期間には個人差があります。野外で過ごした後、すぐに症状がなくても、しばらくは発熱などの体調変化に注意しましょう。なお、SFTSの診断には医療機関での診察や検査が必要です。症状だけで他の感染症と区別することはできません。
主な症状と重症化のサイン
初期には、次のような症状が現れることがあります。症状の組み合わせや強さには個人差があるため、すべてがそろうまで待つ必要はありません。
- 発熱、頭痛
- 強い倦怠感、筋肉痛
- 吐き気、嘔吐、食欲不振
- 腹痛や下痢などの消化器症状
血液検査では、血小板や白血球の減少、肝機能の異常などがみられることがあります。病状が進むと、鼻血や歯ぐきからの出血、あざが増えるなどの出血傾向が現れる場合があります。意識がぼんやりする、息苦しい、強い腹痛があるといった症状も、緊急性の高いサインです。
高齢者や基礎疾患のある人では重症化に注意が必要です。ただし、誰でも発症・重症化する可能性があるため、年齢や健康状態だけで判断しないでください。発熱や強い倦怠感が続き、マダニに接触した可能性がある場合は、受診時にその事実を必ず伝えましょう。
SFTSを防ぐための具体的な対策
SFTSの予防では、マダニとの接触を減らすことが基本です。野外に出るときと帰宅した後に分けて、対策を実践しましょう。服装や点検の手順をあらかじめ決めておくと、忙しい日でも対策を続けやすくなります。
野外活動中にできること
野外に出る前に、帰宅後の点検に使う明るい場所や鏡を決めておくと、確認を後回しにしにくくなります。子どもや高齢者の衣類は、本人だけでなく家族も一緒に確認すると安心です。
- 長袖、長ズボン、靴下、足を覆う靴を着用し、肌の露出を減らす
- 草むらや藪に入るときは、できるだけ植物に直接触れない
- 虫よけ剤は、製品の表示や用法・用量を守って使用する
- 必要に応じて、ダニ対策が施された衣類や虫よけネットを利用する
ズボンの裾を靴下に入れるなど、衣類のすき間を減らす方法もあります。子どもと外出するときは、首筋や耳の後ろ、頭皮なども確認しやすいようにし、帰宅後に保護者が全身を点検してください。
帰宅後の点検と衣類の扱い
帰宅したら、早めに衣類を脱いで、頭皮、首筋、わきの下、腰回り、足の付け根などを確認します。鏡を使ったり、家族に見てもらったりすると、見落としを減らせます。シャワーや入浴も、付着したマダニを見つける機会になります。
衣類は室内に持ち込む前に点検し、洗濯・乾燥してください。洗濯方法は衣類の表示に従い、ダニが付着した可能性のある衣類をそのまま寝具やソファに置かないことが大切です。家族やペットと暮らしている場合も、野外に出た人や動物から室内へ持ち込まれる可能性を考え、帰宅後の衣類や体表を確認しましょう。皮膚に食い込んでいるマダニを無理に引き抜くと、口器が皮膚に残ったり、体液が押し出されたりする可能性があります。自分で処置せず、医療機関に相談してください。
受診の目安
SFTSに特有の症状は初期には分かりにくく、風邪に似ることもあります。マダニに咬まれた、または野外活動の後に、次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 発熱が続く、または高熱がある
- 倦怠感が強く、日常生活に支障がある
- 吐き気や嘔吐、食欲不振が続く
- 鼻血、歯ぐきからの出血、あざの増加などがある
意識がぼんやりする、息苦しい、出血が止まりにくい、強い腹痛がある場合は、緊急性が高い可能性があります。救急相談窓口や救急外来の利用を検討してください。受診時には、野外活動をした場所と時期、マダニに咬まれた可能性、発熱した日、体温の推移、服用中の薬などを伝えると診療に役立ちます。
よくある質問
SFTSとは何ですか?
SFTSは、SFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染することがあるウイルス性疾患です。発熱や倦怠感などで始まり、重症化すると出血傾向や多臓器不全を起こす場合があります。
SFTSの主な症状は何ですか?
発熱、頭痛、強い倦怠感、筋肉痛、吐き気・嘔吐、食欲不振などが代表的です。出血、意識の変化、息苦しさなどがある場合は、早急な受診が必要です。
マダニに咬まれたらどうすればよいですか?
皮膚に食い込んだマダニを無理に取ろうとせず、医療機関に相談してください。咬まれた日時や場所を記録し、その後に発熱などがあれば、受診時にマダニとの接触を伝えます。
SFTSを予防するにはどうすればよいですか?
野外では長袖・長ズボンや靴を着用し、虫よけ剤を表示どおりに使います。帰宅後は衣類と全身を点検し、付着した可能性のある衣類を洗濯・乾燥してください。草むらや藪に入る時間を短くすることも有効です。
まとめ
SFTSは、マダニを介して感染することがあるウイルス性疾患です。発熱、強い倦怠感、頭痛、筋肉痛、吐き気などが現れ、重症化すると出血傾向や意識の変化につながる場合があります。
予防の基本は、野外で肌の露出を減らし、虫よけ剤を適切に使用することです。帰宅後は衣類と体を点検し、マダニが付着していないか確認しましょう。野外活動後に発熱や強い倦怠感、出血がみられた場合は、マダニとの接触歴を伝えて早めに医療機関を受診してください。地域や時期によって注意点が変わることもあるため、公的機関の最新情報も確認しましょう。
参考資料
- 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/
- 国立感染症研究所:https://www.niid.go.jp/