衆院選挙制度改革「比例31議席削減」折衷案とは何か――なぜ定数を減らすのか、1票の格差から読み解く
もし次の総選挙で比例代表の議席が大きく減り、投票の仕組みそのものが変わるなら、あなたの1票はどうなるのでしょうか。2026年10月22日、衆院選挙制度をめぐる与野党協議で、自民党が「比例代表を31議席削減する」折衷案を提示しました(NHK・毎日新聞・朝日新聞などが報道)。この記事では、なぜ議席を減らすのかという根本の問いから、折衷案の中身、各党の立場、そして自分の1票への影響までを順に解説します(なお、現時点ではあくまで「提示された案」であり、制度の成立は未定です)。
はじめに――2026年10月22日、衆院定数で何が動いたのか?
この記事のポイント衆院の比例代表を31議席削減する折衷案が自民党から提示された(2026年10月22日)当初の与党案「比例45議席減」から31減に見直し日本維新の会は**「反対せず」、国民民主党は理解を示す**
衆議院の定数は現在、小選挙区289と比例代表176の合わせて465議席です。10月22日の与野党協議(会派間協議)で自民党が提示した折衷案は、このうち比例代表だけを176から145に減らすもので、小選挙区は据え置きです。あわせて、比例の議席配分方式を現行のドント式から、中小政党に有利とされる「修正サンラグ式」へ変更する案も示されました。
経緯を整理すると、自民党は当初「比例45議席削減」を与党案として掲げていました。これを31減に引き下げたのは、野党側の主張を一定程度取り入れ、早期合意を目指す狙いと報じられています。
この日の各党の反応も早く現れました。日本維新の会は「反対はしない」との姿勢を示しています。ただし、維新本来の主張は比例45議席削減であり、31減という案はその主張には届かない水準です。一方、国民民主党は折衷案に理解を示し、一定の評価をしました。
とはいえ、案はあくまで「提示された段階」です。与野党合意と公職選挙法の改正が前提であり、適用時期は法案・附則の内容が確定して初めて分かります。協議がどこまで進むかは、まだ分かりません。
ここからは、ニュースの見出しだけではつかみにくい「なぜ定数を減らすのか」という問いに、1票の格差をめぐる30年の歩みから答えていきます。選挙制度という専門的なテーマを、ニュースに関心のある一般の読者に向けて、専門用語はその都度かみ砕きながら解説します。
なぜ定数を減らすのか――1票の格差と30年の制度改革の経緯
2026年10月22日、衆院選挙制度をめぐる与野党協議で自民党が「比例代表31議席削減」の折衷案を提示しました。議席を「減らす」ことがなぜ選択肢になるのか。その背景には、「1票の格差」という問題への30年を超える取り組みがあります。
1票の格差とは何か
「1票の格差」とは、選挙区ごとに有権者数が異なるため、1票が議席を決める力(1票の価値)が変わってしまう問題です。たとえば有権者30万人の選挙区と60万人の選挙区がどちらも定数1とすれば、当選人数は同じでも、後者の1票の価値は前者の半分になります。人口の少ない地域の票は重く、都市部の票は軽くなり、議席構成が実際の人口比からずれてしまう。放置すれば「票の価値が住む場所で決まる」状態が続くため、司法と国会が繰り返し是正に取り組んできました。
裁判所は「違憲状態」を繰り返し指摘
最高裁判所は1976年、最大格差4.99倍だった中選挙区制の時代に「違憲」判決を下しました。近年では、2011年(最大格差2.304倍)、2013年(同2.425倍)、2015年(同2.129倍)の各衆院選を巡る訴訟で「違憲状態」の判断が相次ぎ、国会に是正を促してきました。格差が2倍前後まで縮まった2017年・2021年の選挙では合憲に転じたものの、引き続き格差縮小の努力が求められるという構図は変わっていません(各数値・判断は最高裁判決を一覧化した資料に基づく整理です)。
「増やさず・配り直す」調整の限界
国会はこれまで、定数の総数を大きく増やさず配分の入れ替えで格差を絞り込んできました。2016年の公職選挙法改正では小選挙区「10増10減」を決め、増員部分には10年間の凍結が付されました。区割りの修正は続き、2022年の区割り改定で最大格差は1.999倍まで縮まっています。ただ、増員を凍結したままの「配り直し」には限界が見え始めており、増員凍結の10年期限を迎える2026年、議論の軸は定数そのものの見直しへと移りつつあります。政治とカネの問題など、改革を求める世論の動きもこの流れに重なりました。
なぜ削減対象は「比例」なのか
実は、1票の格差は小選挙区の区割りの問題であり、比例代表の削減だけでは直接は是正されません。それでも比例が先に議題になるのは、小選挙区の削減が各党の現職議席に直結し、合意形成が難しいためです。格差是正への司法からの圧力、政治改革を求める世論、そして合意しやすい対象としての比例――この三つが重なった先に、今回の定数削減論議があります。
衆院定数をめぐる主な経緯
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1976年 | 最高裁が最大格差4.99倍で「違憲」判決 |
| 1994年 | 小選挙区比例代表並立制を導入(比例200) |
| 2000年 | 0増20減(比例は180に) |
| 2011年 | 最大格差2.304倍で「違憲状態」判決 |
| 2013年 | 最大格差2.425倍で「違憲状態」判決 |
| 2014年 | 0増10減(比例は176に) |
| 2015年 | 最大格差2.129倍で「違憲状態」判決 |
| 2016年 | 「10増10減」改正、増員部分を10年間凍結 |
| 2017年 | 最大格差1.98倍で合憲 |
| 2021年 | 最大格差2.08倍で合憲 |
| 2022年 | 区割り改定、最大格差1.999倍に |
| 2026年10月22日 | 自民党が「比例31減」の折衷案を提示 |
※年表の判決数値は最高裁判決の一覧資料に基づく整理です。
自民折衷案の中身――「比例45減→31減」「修正サンラグ式」とは何か?
自民党が提示した折衷案は(NHK・毎日・朝日など)、①削減数、②議席の配分方式、③投票方式の3要素で構成されています。以下、順にその中身を見ていきましょう。
比例31削減の内実――小選挙区は据え置き
現行の衆院定数465は「小選挙区289+比例代表176」で成り立ちます。折衷案はこのうち比例代表だけを31減らし、176→145とするもので、小選挙区289は据え置きです。なぜ削減対象が比例なのかといえば、小選挙区の削減は各党の現職議席に直結するため合意形成が難しく、削減しやすい対象として比例が選ばれやすい、という構図があります。
「修正サンラグ式」とは何か――現行ドント式との違い
現行の比例代表は「ドント式」で議席を配分します。ドント式は各党の得票数を1、2、3…という整数で順に割り、大きい商の順に議席を配っていく方式で、得票の多い政党に有利とされます。一方、折衷案で導入が提示された「修正サンラグ式」は、商の計算方法を変えることで中小政党にも議席が回りやすいとされる配分方式で、デンマークでの採用例が知られています(東京新聞・読売など)。なお、具体的な計算式や導入形態は提案資料の公開待ちであり、ここでは報道で伝えられる特徴のみを記しています。
比較表「ドント式 vs 修正サンラグ式」
| 項目 | ドント式(現行) | 修正サンラグ式(案) |
|---|---|---|
| 特徴 | 得票を1,2,3…で順に割り、大きい商から配分 | 商の割り方を変えた配分方式(計算式は提案資料の公開待ち) |
| どちらに有利か | 大党に有利 | 中小政党に有利とされる |
| 採用例 | 日本の衆参両院の比例代表 | デンマークなど |
選択式投票の導入論――「投票意思との乖離」の是正
もう一つの柱が「選択式投票」です。現行の比例代表は拘束名簿式で、有権者は党名だけを書きます。個々の候補者への支持が投票用紙に反映されにくい――この「投票意思との乖離」を是正する狙いの議論は、2026年5月21日に自民党政治制度改革本部が示した「基本的考え方」に遡ります。選択式投票が実現すれば、比例票で「党名」か「候補者名」かを選べるようになる構想です(折衷案への具体的な盛り込み方については、現時点の報道では詳細が限られています)。
「削減」と「サンラグ式」の効果は打ち消し合う?
注目したいのが、西田亮介氏(Yahoo!ニュース・エキスパート、10月22日)の指摘です。31議席の削減自体は中小党に不利に働き、修正サンラグ式は中小党に有利に働くため、両者の効果は部分的に打ち消し合いうる、というものです。「サンラグ式=中小党救済」と単純には捉えられない点が、この折衷案を読み解くカギになります。
ブロック配分の見直しと立法手続き
また、報道では削減分の配分をめぐり、北海道・東北・四国など小規模ブロックの縮小が話題になると伝えられています(四国ブロックの現行定数は6議席で最小級。配分数の詳細は本稿執筆時点で未確認です)。制度の実現には与野党合意と公職選挙法改正が必要で、適用時期は法案・附則が確定して初めて分かります。
比較表「45減案 vs 31減折衷案」
| 項目 | 当初の与党案(比例45減) | 自民折衷案(比例31減) |
|---|---|---|
| 削減数 | 比例45議席減 | 比例31議席減(176→145) |
| 配分方式 | 報道時点で明示なし | 修正サンラグ式への変更を提示 |
| 小選挙区の扱い | 据え置き | 据え置き |
| 中小党への影響 | 大(参政・共産は約半減、国民民主は約3分の2:時事通信の試算) | 削減の影響は緩和される見込み |
| 各党反応 | 維新が主張する45減に合致するも中小党には厳しい案 | 維新「反対せず」、国民民主が理解示す(10月22日報道) |
各党の立場はどう違うのか?(賛否マップ)
折衷案への各党の受け止めは一枚岩ではありません。ここでは、報道で確認できた範囲に限って、各党の立場を整理します。
各党の立場比較表(2026年10月22日時点の報道に基づく)
| 党名 | 立場 | 理由・背景 |
|---|---|---|
| 自民党 | 折衷案を提示(提案者) | 与党案の「比例45減」から31減に見直し、野党の主張を一定程度取り入れて早期合意を狙う(NHK・毎日・朝日など)。党内には中小党に有利な修正サンラグ式への容認論もあった(読売新聞10月20日) |
| 日本維新の会 | 反対せず | 本来の主張は比例45削減で、31減には届かないが反対はしない姿勢(東京新聞など)。金村龍那議員が「比例ブロックの45削減を主張してきた」と説明(FNNプライムオンライン) |
| 国民民主党 | 理解を示す・一定評価 | 野党側の主張が反映された案として受け止めたとの報道(朝日新聞・東京新聞) |
| 公明党 | 独自路線(政権外) | 2025年10月に連立を離脱。10月3日に独自提言「民意生かす選挙制度の再設計」を公表済み(公明党公式サイト)。折衷案への個別反応は報道で確認できていない |
| 日本共産党 | 個別反応は未確認(影響は大) | 時事ドットコムの試算(6月28日)では、比例45減なら議席が約半減する影響の大きさが報じられた。31減なら影響は緩和される |
| 参政党 | 個別反応は未確認(影響は大) | 同じ時事の試算で、比例45減なら議席が約半減すると報じられた |
| 立憲民主党 | 報道で確認できていない | 具体的な賛否は10月22日時点で取得できた報道では確認できず |
| れいわ新選組 | 報道で確認できていない | 同上 |
なぜ各党で立場が割れるのか
表を見ると、立場の分かれ方は比例議席への依存度と深く関係しています。時事ドットコムが同年6月28日に報じた試算によれば、削減幅の大きい「比例45減」が実現した場合、参政党と日本共産党の比例議席は約半減、国民民主党は約3分の2に縮む見込みでした。31減案はこの影響を緩和する方向ですが、「比例議席の比率が高い党ほど削減のダメージが大きい」という構造そのものは変わりません。自党の議席に直結する問題だからこそ、各党の反応は慎重かつ分かれたのです。
一方、折衷案では削減数を45から31に減らすと同時に、中小政党に有利とされる修正サンラグ式の導入もセットで提示されました。削減は中小党に不利に働く一方、配分方式の変更は中小党に有利に働くため、両者の効果は部分的に打ち消し合うと専門家(西田亮介氏、Yahoo!ニュース・エキスパート)は指摘しています。「野党の意向を汲み早期合意を目指す」という自民党の意図が報じられているように、削減数の圧縮と配分方式の変更の組み合わせが、与野党の接点を広げる設計になっているのです。
なお、立憲民主党やれいわ新選組など、10月22日時点の報道では個別の反応が確認できない党については、本稿では推測で補わず「報道で確認できていない」と明記しています。与野党協議は続行中であり、各党の態度は今後の報道次第で変わる可能性がある点にご留意ください。
図解でわかる「小選挙区比例代表並立制」――次の選挙はどう変わる?
折衷案は、現行の選挙制度「小選挙区比例代表並立制」の枠組みを変える提案です。まず制度の基本から確認しましょう。有権者は総選挙で2票を投じます。1票は住む地域の小選挙区の候補者への票、もう1票は比例代表の政党への票です。この2票は別々に集計され、小選挙区289議席と比例代表176議席、合計465議席を決めます。
flowchart TD
A[有権者が2票を投票] --> B[① 小選挙区票]
A --> C[② 比例代表票]
B --> D[選挙区ごとに集計]
D --> E[最多票の候補者が当選<br/>計289議席]
C --> F[11ブロックごとに<br/>党別の得票を集計]
F --> G{議席配分方式}
G -- 現行 --> H[ドント式<br/>大党に有利]
G -- 折衷案 --> I[修正サンラグ式<br/>中小党に有利とされる]
H --> J[党の名簿順に当選<br/>現行: 計176議席]
I --> J
E --> K[小選挙区289+比例176=<br/>合計465議席]
J --> K
L[案が成立した場合の変更点] --> M[比例定数 176→145議席]
L --> N[比例票の記入欄で<br/>党名/候補者名を選択]
図の流れを文字でも補足します。小選挙区票は各選挙区ごとに集計され、最も多く票を集めた候補者1人が当選します(全国で289議席)。比例代表票は全国11ブロック(北海道・東北・北関東・南関東・東京・北陸信越・東海・近畿・中国・四国・九州)ごとに党別で集計され、得票に応じて党へ議席が配分され、名簿順に当選者が決まります(現行は176議席)。折衷案が成立した場合、配分方式が現行のドント式から「中小政党に有利」とされる修正サンラグ式に変わり、比例の総数は176から145に減ります。
並立制の特徴が「重複立候補」(小選挙区比例兼営)です。候補者は小選挙区と比例名簿の両方に名を連ねられ、小選挙区で敗れても惜敗率(当選者の得票を自分の得票で割った値。1に近いほど惜敗)の高い順に比例で復活当選できる可能性が残ります。
ブロックの規模には差があり、四国は6議席と最小級です。北海道・東北などとともに小規模ブロックでは削減の影響が大きくなるとの指摘があり、報道でもこうしたブロックの縮小が話題になりました(ブロック別の削減配分の詳細は10月22日時点の報道では限定的です)。
案が実現すれば、有権者の記入欄と当選の決まり方も変わる可能性があります。現行の比例は拘束名簿式で有権者は党名のみを書きますが、議論されている「選択式投票」では党名か候補者個人名かを選んで書けるようにする構想です。また比例の総数が減るため各ブロックの当選枠も減り、当選の難度は上がると考えられます。なお、小選挙区の票を比例配分にも使う「連用制」も制度改革の論議の一つですが、折衷案への盛り込み有無は本稿執筆時点で確認できていません。
国民への影響と論点――コスト・地域の声・選択肢はどうなる?
案が成立すれば比例は145に減り、公職選挙法改正を経て、次回以降の総選挙からの適用が想定されます(施行時期は法案・附則の内容次第です)。ここでは、有権者の視点から「コスト」「地域の声」「選択肢」の3つの論点と、賛成論・慎重論を整理します。
論点① コストはどのくらい減るのか
定数が減れば、議員報酬などの費用も減ります。仮に議員報酬の標準額が年額約2,600万円台だとすれば、31人分で年約8億円規模という単純計算も成り立ちます(※1)。ただし、これは報酬額を前提とした仮定に基づく概算にすぎず、政務活動費などの他の経費を含めた正式な削減額の試算は、現時点で報道でも確認できていません。また、定数削減の狙いはコスト削減だけではなく、政治改革と1票の格差是正の両面で提示されている点も重要です。
論点② 地域の声は届きにくくなるのか
比例削減で懸念されるのが「地域代表性」の低下です。比例代表は全国を11ブロックに分け、地域に根ざした代表を選ぶ役割も担っています。特に北海道・東北・四国など小規模ブロックへの影響が指摘されており、31減を各ブロックにどう配分するかは現時点で詳細が確定していません。
論点③ 政党の選択肢はどう変わるのか
時事通信の試算(2026年6月28日付)では、当初案の「比例45減」なら参政・共産党は議席が約半減、国民民主は約3分の2に縮む見込みでした。31減なら影響は緩和されますが、比例依存度の高い中小政党が削られやすい構造自体は変わりません。これを緩和するのが、中小政党に有利とされる「修正サンラグ式」への配分方式変更案です。削減(中小党に不利)と配分方式の変更(中小党に有利)が部分的に打ち消し合う、という専門家の指摘もあります。また、比例票が強い公明党への影響も注目されます。日本経済新聞の報道(2026年2月9日)によれば、2026年2月の衆院選では公明党出身者が全員当選したとされ、比例は同党の議席の柱だからです。
1票の格差は直るのか――正確な理解のために
誤解しやすい点を正確に整理すると、比例の削減単独では、小選挙区の「1票の格差」は直接は是正されません。格差は選挙区ごとの有権者数の差の問題であり、区割りと選挙区定数の配分の課題だからです。今回の案は「定数全体を見直す議論」の入口と位置づけるのが正確です。
逆に変わらないもの
小選挙区と比例の2票を書く投票方法や、小選挙区で最多票の候補者が当選するルールなど、選挙の基本的な形式は今回の案の対象ではありません。
賛成論と慎重論の整理
| 論点 | 賛成論・期待される効果 | 慎重論・懸念 |
|---|---|---|
| コスト | 議員報酬・政務活動費などの経費削減につながる(政治改革の側面) | 正式な削減額の試算は報道で未確認。概算の域を出ない |
| 地域の声 | 定数全体の見直し議論が進むきっかけになる | 小規模ブロック(北海道・東北・四国など)で地域代表性が低下する恐れ |
| 選択肢 | 修正サンラグ式への変更で中小党に配慮 | 中小政党の議席減で政治の多様性が損なわれる恐れ(時事試算) |
| 1票の格差 | 定数論議全体を動かす入口になる | 比例削減単独では小選挙区の格差は直接是正されない |
次の総選挙で自分の1票がどう変わるか――確認チェックリスト
- [ ] ① 与野党合意の成否(維新・国民民主などの対応)
- [ ] ② 公職選挙法改正の成立時期
- [ ] ③ ブロック別の削減配分(北海道・東北・四国はどうなるか)
- [ ] ④ 選択式投票(党名か候補者名かを選べる仕組み)の実施可否
- [ ] ⑤ 適用開始となる総選挙の時期
この案は2026年10月22日時点で「提示された」ものであり、成立は未定です。自分の1票への影響は、このチェックリストの進み具合とともに最新の報道を確認するのが確実です。
※1 計算根拠: 議員報酬標準額(年額約2,600万円台とされる)×31人≒年約8億円。あくまで仮定に基づく概算であり、政務活動費等を含む公式な試算ではない。
よくある質問(FAQ)
なぜ定数を減らすと1票の格差の是正につながるのですか?
1票の格差は小選挙区の「1区あたりの有権者数」の問題のため、比例代表の削減だけでは直接は是正されません。ただし、最大格差を2倍前後に保つため「議席を増やさずに配り直す」調整を2016年の「10増10減」以降も続けてきた経緯があり、そのやり方には限界が見えています。今回の削減案が、選挙区と比例の配分全体を組み直す議論のきっかけになると説明されています。
比例が31減ると、日本共産党や公明党は議席を失うのですか?
時事ドットコムの試算では、より削減数の大きい「比例45減」なら共産党は約半減、国民民主は約3分の2に縮む見込みでした。31減なら影響は緩和されるものの、比例議席への依存度が高い党ほど影響が大きいという構造自体は変わりません。比例票が強い公明党の議席構造にどう響くかも注目されています。
「修正サンラグ式」とは何ですか?
比例代表の議席配分方式の一つで、現行のドント式(大党に有利)よりも中小政党に議席が回りやすいとされる方式です。デンマークで使われていることでも知られています。ただし、削減そのものが中小党に不利に働くため、両者の効果は部分的に打ち消し合うという専門家(西田亮介氏)の指摘もあります。
「選択式投票」になると、投票の仕方はどう変わりますか?
比例代表の投票用紙で「政党名」を書くか「候補者個人名」を書くかを選べるようになる構想です。個々の候補者への支持意思を議席配分に直接反映させる狙いがあります。考え方としては、参議院の非拘束名簿式に近いものです。
この制度改革はいつから適用されますか?
与野党合意と公職選挙法改正が必要で、適用は次回以降の総選挙からが想定されています。ただし施行時期は法案・附則の内容次第のため、合意の見通しとともに最新の報道をご確認ください。
まとめ――「次の総選挙で自分の1票がどう変わるか」
2026年10月22日の折衷案提示で、日本の選挙制度論議は大きく動きました。本記事の要点は、次の3点に集約されます。
- 比例31減の折衷案が提示され、与野党協議が大きく前進した(現行は比例176+小選挙区289=計465)。
- 「削減+修正サンラグ式+選択式投票」へと、選挙の仕組み自体を見直す局面に入った。
- 1票の格差是正と政治改革の両面で、定数論議は今後も続く。
制度の行方はまだ確定していませんが、読者が今日から始められる確認は次の3つです。
- 自分の選挙区と比例ブロックを確認する: 総務省や選挙管理委員会のサイトで、住んでいる地域の小選挙区と、11ある比例ブロックのどこに該当するかを見ておきましょう。
- 与野党協議と法改正の動きを追う: 案の適用には与野党合意と公職選挙法改正が前提で、施行時期は法案の内容次第です。改正の成立時期を、最新の報道で確認しておきましょう。
- ブロック別の削減配分をチェックする: 比例176から145への削減が、四国などの小規模ブロックにどう配分されるかは、自分の1票の重みに直結する論点です。
なお、本稿の内容は2026年10月22日時点の報道に基づきます。折衷案はあくまで「提示された案」であり、成立は未定です。ただし、1994年の並立制導入以来となる大きな制度見直しに発展しうる動きであり、次の総選挙で自分の1票がどう変わるかを左右するだけに、注視する価値は十分にあります。
政治・国会をめぐる他の論点については、米中間選挙2026の仕組みと構図や消費税減税法案の論点、内閣支持率「42%」の読み方もあわせてご覧ください。
参考文献・出典
本文の2026年10月22日の報道は、Google News経由で確認したNHK・毎日新聞・朝日新聞・東京新聞・読売新聞・FNNプライムオンラインなどの見出し・報道内容に基づきます(記事本文の直接URLは購読要件等により一部リンクできません。下記の検索URLから各報道に到達できます)。
- NHKニュース「衆院選挙制度協議 自民"比例で31議席削減"折衷案提示」(2026年10月22日)
- 毎日新聞「自民、衆院選挙制度改革で折衷案 比例削減を31議席に」(2026年10月22日)
- 朝日新聞「自民、衆院議員定数『比例のみ31減』を提案 国民民主が理解示す」(2026年10月22日)
- FNNプライムオンライン「自民『比例で31議席削減』の新提案 衆院選挙制度改革」(2026年10月22日)
- 東京新聞「衆院の定数削減、自民が『比例45減→31減』折衷案 『修正サンラグ式』も提示…野党の反応は」(2026年10月22日)
- 読売新聞「中小政党が議席得やすい衆院比例『サンラグ式』導入案、与党内にも容認論…自民が折衷案提示へ」(2026年10月20日)
- 時事ドットコム「参政・共産が半分、国民民主は3分の2に 比例45減、中小議席へ影響大」(2026年6月28日)
- Yahoo!ニュース・エキスパート 西田亮介「比例31減と『修正サンラグ式』を読む」(2026年10月22日)— https://news.yahoo.co.jp/search?p=比例31削減+衆院
- Google News「衆院選挙制度 比例31」検索(各報道へ到達可能)— https://news.google.com/rss/search?q=衆院選挙制度+比例31&hl=ja&gl=JP&ceid=JP:ja
- 自民党「衆院比例『投票意思との乖離』是正を政治制度改革本部が『基本的考え方』示す」(2026年5月21日)— https://www.jimin.jp
- 公明党「民意生かす選挙制度の再設計」(2026年10月3日)— https://www.komei.or.jp
- NHK「衆議院選挙2026 特設サイト」— https://news.web.nhk/senkyo/database/shugiin/
- ウィキペディア「一票の格差」(判決一覧表・2022年区割り後の格差データ)— https://ja.wikipedia.org/wiki/一票の格差
- 日本経済新聞「惨敗の中道改革連合、公明出身者は全員当選で議席増」(2026年2月9日)