戦後日本

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政治・社会

「日の丸を燃やしたら罪」になるのか──国旗損壊罪法案、衆院で審議入り。国家の象徴か、表現の自由か

リード ── 70年余り「存在しなかった」罪が、いま現実味を帯びる 日本の国旗「日の丸」を燃やしたり、破いたりしたら犯罪になるのか。多くの人は「当然、罰せられるはずだ」と思うかもしれない。だが、これまで日本には自国の国旗を傷つける行為そのものを処罰する法律は存在しなかった。他人の所有する旗を壊せば器物損壊罪に問われる可能性はあっても、「日の丸を焼いた」という行為自体を犯罪とする規定はなかったのである。 その空白を埋めようとする「国旗損壊罪」の創設法案が、2026年6月24日、衆議院内閣委員会で審議入りした。高市早苗首相が重視し、与党の連立合意にも明記された肝いりの法案だ。だが審議の冒頭から、与野党の主張は真っ向からぶつかった。国家の象徴を守るべきなのか、それとも憲法が保障する「表現の自由」を脅かす危うい一歩なのか。本稿では、この法案が問うているものを、背景・条文・賛否・各国比較・政局という複数の角度から掘り下げる。 背景 ── なぜ日本に「国旗損壊罪」がなかったのか 議論の出発点は、刑法92条の「外国国章損壊罪」にある。これは外国を侮辱する目的で、その国の国旗や国章を損壊
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暮らし・文化

黒川紀章設計・平和塔の解体が問う、戦後建築の保存と継承

黒川紀章とは - 建築家としての位置づけ 黒川紀章は、戦後日本の建築思想を牽引したメタボリズム運動の中核人物であり、共生の思想を基本概念として都市と人の関係を再編した建築家である。生涯を通じて街と住まいの境界を柔軟に結び直す設計思想を展開し、代表作の Nakagin Capsule Tower(1972年完成、東京・新橋の一体型カプセル群)は、部品の再利用と機能の流動性を具体化した象徴的プロジェクトとして現代建築に影響を与えた。 戦没者慰霊平和塔(蒲郡市)とは こうした黒川の思想を体現する地方事例が、蒲郡市の戦没者慰霊平和塔である。戦没者慰霊平和塔は、戦後の記憶と公共空間の対話を象徴する記念建築だ。その背景には、戦後復興と都市計画の潮流の中で「保存すべき遺産」と「安全・管理費用」の天秤が存在した。設計意図は、塔を通じて平和と共生を市民へ開くことにある。現在は老朽化が進み解体判断の背景となり、保存の是非を巡る議論が活発化している。設計責任の解釈には、改修コスト・安全性・継承価値の評価方法が関係し、黒川紀章の思想と実務の橋渡しが焦点となる。 LightRAG/ナレッジグラフの示
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ビジネス・経済

「世界最大の債権国」34年神話の終焉──日本の対外純資産、中国に抜かれ3位転落が突きつける円安と経常収支の臨界点

リード──2026年5月26日、財務省の一枚の表が物語った日本の地位低下 2026年5月26日午前、霞が関の財務省が公表した一枚の統計表は、戦後日本の経済アイデンティティを静かに、しかし確実に塗り替えた。「2025年末の対外資産・負債残高」。政府や企業、個人投資家が海外に持つ資産から、海外投資家らが日本に持つ資産を差し引いた「対外純資産」は、561兆7504億円。前年末比4.4%増、7年連続で過去最高を更新した──。 数字だけを見れば「過去最高」「8年連続増加」の好調指標である。しかし、その裏に潜む真実はまるで逆だった。国際通貨基金(IMF)の統計などをもとに財務省が比較した「世界ランキング」は、ドイツが675兆5374億円で首位、中国が636兆3391億円で2位、そして日本が3位──。1991年から2023年まで実に33年間にわたって「世界最大の対外純資産国」を守り続けた日本は、2024年末にドイツに抜かれて2位に転落、そしてついに2025年末、貿易黒字を積み上げる中国にも抜かれて3位へと、わずか2年で2ランクを落としたのである。 片山さつき財務相がこの日の閣議で報告した数字は
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ビジネス・経済

「脱エンジン」を捨てた日──ホンダ上場以来初の4239億円赤字が突きつけた、日本式EV戦略の終焉とハイブリッド回帰の覚悟

はじめに──1957年から続いた「黒字神話」が、1兆5778億円の損失で終わった 2026年5月14日午後1時25分、本田技研工業(以下、ホンダ)が発表した2026年3月期の連結決算(国際会計基準=IFRS)は、日本の自動車産業史にもう一つの「初めて」を刻んだ。最終損益は4239億円の赤字。前期の8358億円黒字から実に1兆2597億円もの落差で着地し、1957年に東京証券取引所へ上場して以来、最終赤字に転落したのは初めてである。本業のもうけを示す営業損益も4143億円の赤字(前期は1兆2134億円の黒字)に転落した。 売上収益は前年同期から微増の21兆7966億円。販売台数自体は大きく崩れていない。それでも巨額の赤字を計上した最大の理由は、電気自動車(EV)戦略の見直しに伴う1兆5778億円の関連損失だ。減損損失と部品メーカーへの補償金などを合算したこの「一括処理」が、上場以来69年間守ってきた黒字記録を一夜で破壊した。 そして同日、東京・新宿の会見場で三部敏宏社長が口にした一言が、日本の自動車産業に静かな衝撃を走らせた。 「2040年までの脱ガソリン車目標は、現実的ではない
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政治・社会

防衛装備品「5類型」撤廃で日本は変わるのか——殺傷武器輸出の全面解禁がもたらす光と影

2026年4月21日、日本の安全保障政策が歴史的な転換点を迎えようとしている。政府は防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、これまで「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の5分野に限定されていた防衛装備品の輸出制限——いわゆる「5類型」——を撤廃する方針を固めた。これにより、護衛艦やミサイルといった殺傷能力を持つ武器の輸出が原則として可能になる。戦後日本が堅持してきた「武器を売らない国」という国是は、いま大きく書き換えられようとしている。 何が変わるのか——「5類型」撤廃の具体的な中身 これまで日本の防衛装備品輸出は、2014年に策定された防衛装備移転三原則とその運用指針によって厳しく制限されてきた。完成品の輸出が認められていたのは、救難、輸送、警戒、監視、掃海という非殺傷分野の5類型に限られていた。つまり、レーダーや輸送機は輸出できても、ミサイルや戦闘艦艇といった「人を殺傷する能力を持つ武器」は輸出できなかったのである。 今回の改定では、この5類型を完全に撤廃する。殺傷能力の有無を問わず、防衛装備品全般の輸出が原則として可能になる。ただし、いくつかの歯止めも設けられている。 第一に
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