リード ── 静かに、しかし確実に潮目が変わった一週間
ここ数年、日本の自動運転は「米中に周回遅れ」と語られ続けてきた。米グーグル系のWaymo(ウェイモ)が3,500台を超えるロボタクシーをフェニックスやサンフランシスコで日常的に走らせ、中国の百度(バイドゥ)「Apollo Go(アポロ・ゴー、萝卜快跑)」が世界27都市で累計2,200万回もの無人走行を積み上げる一方、日本の街角に「運転席が空っぽのタクシー」が現れる気配はなかった。
ところが2026年6月、その空気が変わりつつある。6月9日、名古屋大学発の自動運転スタートアップ「ティアフォー」が東証グロース市場への上場を申請。同じ週には、自動運転の「世界ルール」が国連の場で採択される見通しが固まり、日産自動車は2027年に世界初をうたう「自家用車レベル4」の発売計画を打ち出した。バラバラに見えるこれらの動きは、実は一本の線でつながっている。本稿では、この転換点が何を意味するのかを多角的に掘り下げる。
背景 ── 「実験」を縛っていた、ルールという見えない壁
そもそも、なぜ日本は出遅れたのか。技術力だけの問題ではない。最